電池一個と電池二個を直列に繋いだときの『電池のもちの違い』について

http://www.hatena.ne.jp/1109154803 の一連をみて思う。

1 秒あたりの*1システム全体から放出されるエネルギー(=電球から出る光と熱)は約 4 倍になったのに、始めに用意するエネルギーは 2 倍にしかなっていないので、1 個のみの場合より長持ちっていうのはありえないでしょう。(電池一個当たりの電流が 1/2 になるって話は並列の場合と勘違いした可能性が大ですね。*2

時間が具体的にどれくらい変わるかってのはとても難しい問題で、電池の残量と起電圧の関係がわからないので何も言えない。

ま、単純に『切れるまで電圧一定』ってすげぇ仮定をすると約半分の時間しか持たないってのが回答ですかね。*3

って、皆さんエネルギーで議論してましたが、俺は真っ先に電荷の移動での議論を思いつきました。*4だって充電池に時々書いてあるじゃんね 1400 mAh とか。*5

ってことで、電荷の移動の観点での説明を試みると、気にする点は以下。

  • 電池ってのは - 極から電子を放出して、 + 極でそれを吸収している。
  • 電流っていうのは 1 秒あたりに通過する全電荷(= 1 秒あたりに通過する総電子数)。
  • 未使用の電池一個が生み出せる電荷は決まってる。*6
  • 電池同士が直につながっているところでは、片方の電池が出した電子を他方の電池が吸収する。

以上より、電球を流れることができる全電荷は、電池一個の場合と同じになってしまうことがわかる。だって、+ 極が電球につながっている電池から出た電子は、他方の電池に吸収されちゃうから。
ということで、電流が約 2 倍になっているので、早く流れきっちゃうことは当たり前。よって電池 2 個を直列に繋いだ方が早く消えちゃいますって結論。

ってエネルギーの議論の時と結果はまったく同じ。ま、電池に残っている電荷と電圧の関係は知れているだろうから、エネルギーの議論とまったくもって等価なんですけどね。

*1:『単位時間あたりの』と書きたかったけど具体的に『1 秒あたりの』と書いた。

*2:中学だか高校の教科書とかに載ってる川の流れのイメージが一番わかりやすく、かつ適切だと思う。電流は水の流れ、電池は高いところへ水をくみ上げるポンプ、導線は平らな(=高さが変わらない)水の通り道、抵抗(電球)は下り坂になっている水の通り道…って感じ。

*3:内部抵抗を考慮すると電池一個あたりに流れる電流は 2 倍よりはちょっと小さくなるので、一個のときの半分よりはちょっと長い時間で切れる…ってとこかな。

*4:他に、電荷の移動での議論があるのは http://d.hatena.ne.jp/ogasaike/20050224 位ですかね?

*5:1 mAh ってのは 1 mA (=1/1000 A(アンペア))の電流を 1 h(時間)流したのに相当する電荷

*6:もちろん、違う種類の電池を使えば異なるけど…。